●あぐばんば● 出自:日本→秋田県→由利郡 別名:─ 同一:─ 字義:灰ばばあ 昔、隣街にあぐばんばがいた。 いろりの灰の下に棲んでいて、灰を掘るともくもく出てきて、子供をさらっていく。 あぐばんばの顔には目と口がなく鼻だけがあり、頭の天辺に口があった。 悪戯な子供だけでなく毎年娘を一人自分の家に連れて行くので村人は大変恐れていた。 村には今年十八になる美しい娘がいたがついにあぐばんばに見つかってしまった。 あぐばんばは土産物を用意しておく様に娘に行って一旦帰って行った。 娘の両親は娘の身を心配していろりのある所から娘を隠しておこうとしたが、 娘はあぐばんばを退治すると言い、白い石と餅を持ってあぐばんばがくるのを待った。 夜になり灰の中からあぐばんばが現れ、娘を捕まえると灰の中の自分の家へともぐった。 あぐばんばはまず娘に風呂をたく様に指示し、娘は言われたとおり風呂のたきつけた。 次にいろりに火をたいて餅をやけと言うので、 娘はいろりに石を入れ火をたいて、何食わぬ顔で餅を焼いた。 あぐばんばが餅が焼けた所から食わせろと頭の大口をあけて言うので、 娘はそこに真っ赤に焼けている石をどすんと入れた。 あぐばんばはびっくりして泣きながら風呂の方へ走って行った。 娘はすばやく先に回って煮え立ったお湯をあぐばんばにかけると、 あぐばんばは死んでしまった。 |