●エーテル● 出自:物理学 別名:イーサー 同一:─ 字義:─ 19世紀以前の物理学で、空間に充満していると考えられていた仮想の物質。 空間に何らかの物質が充満しているという考えは古くからあった。 17世紀以後力や光を伝える媒質として、エーテルの存在は重要な仮説となった。 ルネ・デカルトは、惑星がエーテルの渦に乗って動いていると考えた。 また、クリスティアン・ホイヘンスが光の波動性を説明する際にエーテルを用いた。 19世紀、ジェームズ・クラーク・マクスウェルが電磁気学を確立し、 ハインリヒ・ヘルツの実験により電磁波の存在が確認されると、 電磁波の媒質であるエーテルの存在も否定しがたいものとなった。 しかし、マイケルソン=モーリーの実験により事態は一変した。 1880年代マイケルソンとモーリーは、静止したエーテルに対する地球の速度を測定、 地球の進行方向と直交方向で光の速度を比べる実験を行った。 ところが、いくら測定しても速度差を見い出すことができなかった。 この実験の後の1905年にアルベルト・アインシュタインが特殊相対性理論を発表し、 エーテルの存在は根拠がないものとして退けられるようになり、 空間そのものが力や光の媒質であると考えられている。 |