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(いぬ)(おっと)
出自:ネイティヴアメリカン
別名:─
同一:─

ある父親は娘が一向に夫を持とうとしない言に気をもみ、
そんな事なら彼の犬と結婚してしまえと悪態をついた。
すると、一人の男が犬のお守りを持って現れ、娘と結婚した。
彼は人間の姿をした犬であった。
やがて娘は妊娠し、沢山の子供を生んだ。
ただし、人間は半数だけで残りは犬だった。
犬の夫はイグルーリックの夫達の様に狩りが出来なかった為、
妻の父親が肉を分け与えていた。
しかしこうした事は道徳的な行為に反していた為、父親は犬の夫を殺す決意をした。
ある日、犬の夫が父親の野営地から川を泳いで肉を運ぼうとした所、
肉の中に石が入っており、その重さで溺れてしまった。
怒った妻は父親に対し自分と犬との不自然な結婚をさせた事を罵り、
犬の子供達に父親を殺すように命じた。
犬達は父親を襲ったが、彼は逃げ出し、娘の為に肉を持っていく事をやめた。
こうして肉をくれる者がいなくなった為、若い妻は自分の服(ないし靴、
あるいはその双方)を舟に変え、子供達を乗せて現世へ送り出した。
彼等が独力で生きていけるように、である。
イヌイット族はこの時の犬と人間の子供がネイティヴアメリカン(または精霊)と
白人の祖先になったとしている。