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●イシュタル●
出自:バビロニア神話
別名:ミリッタ
同一:アスタロト、アスタルテ、アシュトレト、アシュター、アナトアフロディテシャウシュカ
前神:イナンナ
字義:─
容姿:弓と矢筒を携えた美しい女性の姿
家族:夫(兄)にタンムズ

豊穣、金星、愛の女神。
アッシリアでは弓と矢筒を携えた姿から戦争の女神として崇拝された。
また娼婦達の守護神でもあった。

すぐに裸身をさらす多情の神として有名。
「世界最古の物語」では誘惑した男に不貞について説教された逸話まである。
ヘロドトスによればバビロニアの女性は生涯に一回、
イシュタルの神殿で男性に身を捧げる事を義務付けられていた。
この時男性は女性の膝の間に貨幣を投げ入れ、
「私は汝をミリッタの名において要求する」と言わねばならなかった。
これは本来は豊穣の思想と結びついた聖なる儀式であった。
ユダヤキリスト教等一神教の到来後異教の淫らな風習とされた。
結果、イシュタルは悪魔アスタロトという不名誉な烙印を押された。

この女神の有名な話に「イシュタルの冥界下り」と言われるエピソードがある。
自らの身代わりに死んだ夫タンムズを追って死の女主人たるエレキシュガルさえも
怯えさせる程の敵意に満ちた恐ろしい姿で地下世界へと降りて行った。
しかし、結局は死んでしまった。その為、地上は荒れ果ててしまう。
そこでエア神は「すばらしい」去勢者を使ってようやくの事でイシュタルの救出に成功した。

ギルガメッシュ叙事詩ではウルの王ギルガメッシュを誘惑する官能的な女神として登場。
彼女はギルガメッシュに愛を告げるがギルガメッシュはこれまで彼女が捨ててきた
男達の悲惨な末路を知っていたのでこれを手ひどく断った。
怒った彼女は七日間飢饉をもたらす牡牛クサリクを天空より地上に降ろした。
ギルガメッシュはこの牛を相棒エンキドゥと共に打ち倒し、その死骸を彼女に投げつけ
お前もこうしてやりたいとはき捨てた。
イシュタルは泣きながら二人を呪い、それを受け入れた神々によってエンキドゥは死に、
ギルガメッシュは腑抜けの様になってしまった。