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●追い出された天女●
出自:日本→京都府→丹後
別名:─
同一:─
前神:─
字義:─

昔、丹後は綺麗な女の住む里として知られていた。
丹後の比治山の頂きに、美しく清らかな水が湧き出す真奈井と言う池があった。
村人達は知らなかったが、実はこの池は天女達が酒をかもす水だった。
ある夏の日、老夫婦が薪を取る為に池の側を歩いていた。
すると天の上で天女達が舞っているのが見えた。
そこで夫婦は物陰に隠れて眺めている事にした。
天女達は池に降りてきて水浴びを始めた。
それを見ていた夫婦は天女達が自分の子供になってくれれば、と思い、
天女達の脱いだ羽衣を隠して頼みこむ事にした。
独り天に帰れない天女は、老夫婦に子供になってくれと頼まれ非常に困った。
羽衣がないと天に帰れないので二人の申し出を承知した。夫婦の下で暮らし始めた
天女が汲んでくる真奈井の池の水はどんな病気にも効く薬酒にかわっていた。
老夫婦が病人に薬酒を飲ませると、どんな病気でもたちどころに治った。
治った病人はお礼にやってくるので、老夫婦は栄えていった。

何年かたった後、老夫婦は急に娘になった天女に対する態度を変え、
天女と自分達は何の縁も無いから出て行ってくれと言い出した。
天女は泣いて家においてくれる様に頼んだが夫婦は聞き入れず、天女を追い出した。
天女は長い間地上にいた為に、天へと戻る方法を忘れてしまった。

天女は荒塩と言う所を通り丹波へ入り船木里奈具と言う所に久しくいたと言う。
今もある奈具神社にこの時の天女豊宇気毘売神(とようけひめのかみ)が酒造りの神として祀られている。