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●河童のくれた壷●
出自:日本→千葉県→市原郡
別名:─
同一:─
前神:─
字義:─

昔源左衛門と言うよく働く百姓が養老川の近くの畑で胡瓜を栽培していた。
一休みして木陰に腰掛け煙草を吸っていると、
川の中から七つか八つくらいのお河童頭の子供が出てきた。
子供はしきりに源左衛門のお尻をつつくので、源左衛門が叱り付けると
自分は河童で、大好物の胡瓜をくれたらお礼に宝の壷をやる、としつこく言ってくる。
源左衛門は五月蝿くて仕方なく胡瓜を投げると、河童はそのまま川の中へ姿を消した。
その夜の事。源左衛門は真夜中に誰かが庭を歩いている音を聞いたが、そのまま
寝入ってしまった。夜があけたので庭に出てみた所、庭には水鳥に似た足跡が
沢山あり、馬小屋へ続いていた。
源左衛門が足跡をたどっていくとその先に桶が逆さまに伏せてあり、
中に小さな黄色い壷が入っていた。源左衛門は河童の言葉を思い出し、
喜んで女房と壷の中身を見ると、お金が二枚入っていた。
二人はしばらくその金を大事にしまっていたが、
ある時急に金が必要になり、思案の末に壷の中の金を一枚使った。
源左衛門が次の日に心配になって壷の中身を見ると、
使った筈の金が元通りに入っていた。
源左衛門は不思議に思い、また一枚使ってみた。
すると次の日もまた元通りの二枚の金が入っていた。
この壷のお陰で貧乏だった源左衛門は何不自由ない生活を送り、裕福になった。
しかしその何代目かの子孫の強欲な男が壷の中のお金を二枚使ってしまい、
それ以後壷にお金は戻らなかった。