●鬼神(きしん)のお松(まつ)
出自:「新板越白浪(しんぱんこしのしらなみ)
別名:女児来也
同一:─
前神:奴の小万
字義:─
容姿:─
家族:夫に立目丈五郎、三島権右衛門

三世桜田治助作歌舞伎「新板越白浪」の通称であり、その登場人物。
1853年(嘉永6年)に売り出された錦絵「三幅対」の中では石川五右衛門、児来也と並んで「日本三大盗賊」の一人とされている。
元は深川の遊女であったが、仙台藩士立目丈五郎に見初められて武家の奥方となる。
夫の立目は御前試合のもつれから剣道指南役の早川文左衛門に殺害されてしまう。
夫の仇を討つ為にお松は放浪の旅へと出るのだが、その道中で強請り、騙り、窃盗、殺人と、次々と罪科を重ねていく。
仙台から一の関へ向かう途中、仇の早川に出遭ったお松は渡河の際、いつもの手口である「持病の癪」と「水癲癇」を使って巧みに早川を騙し、彼に背負われて川の深間に差し掛かる。
そこで早川を刺し殺し、遂に本懐を遂げた。
その後、越後の笠松峠に巣食う山族三島権右衛門の一派を従え賊の女頭目となる。
笠松峠を拠点として附近の村々を荒らし回り、賊退治に出向いてくる腕自慢の剣士達を巴流の薙刀で次々と返り討ちにしてゆく。
天明三年(1783年)、かつての夫の仇の息子、早川文字郎という17歳の青年に金岳山で討たれ、あえなく首を落とされる。

一説によれば、お松は伊達藩の山狩りを怖れて亭主の権右衛門と共に三河の山奥へと逃れた。
しかし、やがて文字郎に探し当てられてしまう。
お松は抵抗することなく、文次郎に父の仇を討たせてやったと言う。

四世鶴屋南北の合巻「裙模様沖津白浪」に登場する奴の小万が原型とされる。

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