●巨人国訪問(きょじんこくほうもん)
出自:北欧神話

ロキトールとその従者がヨトゥンヘイムへ訪問した時の事。
一行は五つの部屋がある小屋をみつけ、そこで一泊する事にした。
しかし地鳴りの様な音が一晩中鳴り響き、とても寝られた物ではない。
朝起きてみると巨大な巨人が近くに寝転がっている。
実は一行が寝泊まりした小屋はこの巨人の手袋で、地鳴りはいびきであった。
巨人に散々馬鹿にされたトール達はこの巨人と一緒に巨人の王に謁見する事にした。

巨人の王ウトガルド=ロキに出会った一行は、勝負する事になった。
まず、ロキが早食い競争を申し入れる。
ウトガルド=ロキはロギという男を呼び寄せ、肉で勝負する事になった。
このロギは炎そのもので、ウトガルド=ロキの幻術によってそれを人間として見ていた。
ロキとロギは同時に食べ終わった。
ロキは骨だけを残して食べ終わったが、ロギは骨どころか器すらも食べたので、ロギの勝利となった。

続いて、トールの従者シャールヴィがフギという巨人とかけっこで勝負した。
シャールヴィは一度目はほんの少し差で負けた。
二度目、三度目と勝負してもどんどんと差が広がるばかりだった。
実はこのフギという巨人は、ウトガルド=ロキの「思考」だった。
いくらシャールヴィが速くても「思考」には勝つ事が出来なかった。

続いて、トールはウトガルド=ロキの持ってきた大きな杯で酒を飲む事になった。
ウトガルド=ロキは自分なら一口か、多くても二口で飲み干せるだろうと豪語した。
トールがその杯一口、二口と口をつけたが、一向に減る気配は無い。
この杯の先は実は海と繋がっていた。
この時から、海に引き潮が出来たと言われている。

次にトールはウトガルド=ロキの飼い猫を持ち上げる事になった。
いくら力を込めても、トールは猫の片足しか持ち上げる事は出来なかった。
実はこの猫と思っていた物はヨルムンガンドだった。
ついに憤慨したトール巨人の誰かと直に戦わせろと叫んだ。
そこで、ウトガルド=ロキはエッリという老婆の巨人と戦わせる事にした。
トールがいかな技を持ってしても老婆を揺るがす事は出来ず、激しい戦いが始まった。
そしてトールは片膝をつき、この老婆の巨人に負けてしまった。
この老婆と言うのが実は「老醜」の化身であった。
どんな屈強の戦士でも、老いには勝つ事が出来ない。

そうこうしている内に夜の帳が落ち、一行はウトガルド=ロキの屋敷に留まる事にした。
一晩明け、旅立つ前に、完敗にうなだれるトールに対し、ウトガルド=ロキは、幻覚の魔法を使って勝負をしていたという真実を打ち明かす。
怒ったトールはニョルニルでウトガルド=ロキを打ち据えようとしたが、その時には巨人も巨大な館も全てかき消えてしまっていたという。

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