●五芒星(ごぼうせい)
出自:
別名:阿部(安倍)清明判紋
同一:─
前神:─
字義:─
容姿:黄金比(一対一・六一八)からなる形

先史時代より洋の東西を問わず魔除けの呪符として用いられてきた。
五芒星の持つ魔除けの効力は、一筆書きで出来て閉鎖性を持つ事から、
悪霊や邪気の侵入を防ぎ、かつ閉じ込める事が出来る所にある。
更に悪霊や邪気が恐怖感を持つ「目」が沢山出来る結びの形である事も効き目の一つとなる。
ゲーテ「ファウスト」によると、悪魔メフィストフェレスがファウストの部屋の鴨居に描かれた
五芒星の為に室外に逃げる事が出来ず、五芒星の一つの角を鼠に齧らせて隙間を作って逃げたと言う。
日本へは西洋あるいは中国から伝来し、後世になって信仰的な理論付けがなされた。
五つの角が密教の五大(地水火風空)や陰陽思想と結び付く五行(木火土金水)を表したり、
五行相生説、五行相剋説を表したりする。

世界最古の五芒星は紀元前三千年紀初めにチグリス、ユーフラテス両川間にあるジェムデット・ナスル(イラク)から
出土した壷に描かれていた物とされる。
日本で最古の物は七世紀の阿古山22号古墳(鳥取市)石室壁面に線刻された物。
だがこれらの五芒星が魔除けとして用いられていたかどうかは不明。

魔除けとしての五芒星で最も古い物はガリラヤ湖(イスラエル)北岸の二〜三世紀のシナゴーク(ユダヤ教礼拝所)を飾った物。
中国ではタクラマカン砂漠南端の尼雅(にや)遺跡(三〜四世紀)から出土した柄杓の柄に五芒星と+が共に刻まれている。
日本では上野(こうづけ)国分寺と国分尼寺(群馬県)に挟まれた河川敷の祭祀遺跡から八世紀前半の
五芒星を刻んだ土器が出土している。
また古代出羽国の役所であった払田(ほった)柵(秋田県)の祭祀遺跡からは五芒星を墨書した土器が出土した。
1915年の十和田火山大噴火に対する祓いの祈りに用いられたと見られている。
これらの遺跡はしばしば増水に襲われる地という事で共通しており、日常生活を侵す恐ろしい天災から
逃れる術を五芒星に託したと考えられる。
日本では五芒星は陰陽家・安倍清明に発すると言われ、五芒星を紋章名で阿部(安倍)清明判紋と呼ぶ。

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