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今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)
出自:日本
別名:今昔物語
字義:─

平安時代末期に成立したと見られる説話集。全31巻、ただしそのうち3巻を欠く。
成立年代と作者は不明。
作者は源隆国と考えられた事もあったが、現在では疑問視されている。
収録されている内容から、1120年代以降の成立である事がわかる。
一方、今昔物語集が他の資料に見えるのは1449年の事。
成立時期はこの間になるが、上限の1120年代からあまり遠くない時期と考えられる。
京都大学付属図書館に所蔵されている、鈴鹿家旧蔵本(国宝)が最古の伝本。
紙の年代が成立時期に重なる事から、これが「今昔物語集」として最初に書かれた
そのものである可能性もある。
その他の本は鈴鹿本から書写された物だと考えられている。
原文(鈴鹿本)は漢字仮名交じり文で書かれている。
文体は余り修辞に凝らない物である一方、擬態語の多様等により、臨場感を備える。
芥川龍之介は「美しいなまなましさ」「野蛮に輝いている」と評している。

天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の三国の説話が収録されている。
それぞれ、先に仏教説話、後に仏教説話以外の説話を並べる構成。
「今昔物語集」の話は全て創作ではなく、他の本からの引き写しであると考えられる。
元となった本は「日本霊異記」「三宝絵」「本朝法華験記」等が挙げられる。
俗に「今昔物語」とも言われるが正しくは「集」が付く。
近世以前は「いまはむかしのものがたり」と読まれていたとされる。