●喰わず女房● 出自:日本→茨城県→勝田市 別名:─ 同一:─ 昔よく働くが欲が深いケチな若者がいた。 よく働いてご飯も食べない嫁を探していると公言していたが、 ついに生まれつき口の無いよく働く女を見つけ、嫁に貰った。 女房は口がないので、食べ物を食べなくてもすむので、 若者は大変満足していた。 それから間もなく、若者は米や芋等食物が急に減っている事に気がついた。 これはどうも女房が怪しいと思った若者は 仕事にいったふりをしてそうっと忍んで女房を見ていた。 すると台所にいる女房はすばやく髪をといて広げると、 頭の上にぽっかりと穴があいていた。 そして穴に飯や汁、芋の煮物等をどんどん放りこんだ。 怒った若者は女房に家を出て行くように言った。 女房は大きな桶を作ってくれたら出て行く、と言うので 若者は仕方なしに大きな桶を作ってやった。 すると女房はいきなり若者を桶に入れ、かついで山の中へ入って行った。 人里離れた山奥へ入ると、正体を現した女房は大蛇になっていた。 びっくりした若者は死に物狂いで逃げ出したが、蛇は若者を捕まえた。 若者が菖蒲と蓬の生えている所へ逃げ込むと、蛇はすごすごと引き返して行った。 |