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●セイレーン●
出自:ギリシア神話
別名:セイレン、複数形:セイレーネス
同一:─
前神:─
字義:「紐で縛る」「干上がる」(他にも怪美人、魔女、男たらし等の意味もある)
容姿:美しい女性の顔と背中に翼を持つ人魚
   女性の頭を持つ鳥、魚の下半身を持つ等諸説ある
家族:(一説によると)父にアケロオス、(一説によると)母にムーサイ

海の魔女。
シチリア島に近いアンテモッサ(花が咲き乱れる)島に集団で棲んでいる。
歌声で人間を廃人にする能力を持つ。
セイレーンは海の魔女だけではなく熱病魔としても恐れられていた。
この歌声が航海者の耳に届くと、彼等はすぐにも心を奪われてしまう。
惑わされた航海者達は自らセイレーン達のいるアンテモッサ島に行き、
永遠に彼女達の歌を聴き続ける事になる。
また、セイレーンは人間の生肉だけを食べ、航海者達を生きたまま引き裂き食べる。
セイレーンは歌声で誘惑を失敗すると、今度は体臭を出して航海者を誘う。
アンテモッサ島には死んだ航海者達の白骨死体が山積みになっている。
ギリシア神話以前にアンテモッサ島は死者の魂が行き着く島として考えられた。
この為セイレーンは死神の侍女として、墓等の石碑にその姿をしばしば見かける。
ホメロスは彼女を単なる女性とし、近くを通る船乗りに魔法をかける二人の魔女とした。
アポロドーロスはセイレーンを三人組とした。
一人は竪琴を弾き、一人は歌を歌い、一人は笛を吹く。
セイレーンは後に英語のサイレンの語源となった。
一説によると、元ペルセポネの従者のニンフだったと言われる。
ペルセポネハデスによって誘拐されたのを見過ごした為に、怪物に変えられた。

アルゴー探検隊がアンテモッサ島の近くを通った時出会った。
彼女の歌声に対抗し、アルゴー探検隊の一人オルフェウスが琴の演奏をし、歌を歌った。
オルフェウスの歌声はセイレーンよりも美しかったので、ブーテスを除いて彼女達に
誘惑されずに済んだ。ブーテスもアフロディーテに助けられた。
セイレーンはこの悔しさのあまり自殺してしまった。もしくは岩になった。

オデュッセウスも航海中にセイレーンと出会った。
セイレーンはたちまち船を取り囲むと、口々に歌を歌い始めた。
オデュッセウスはあらかじめこれを予期し、部下の耳には蝋を詰めて歌を聞かせず、
自分の身体をマストを縛り付けてセイレーンの話を聞く事にした。
一向に誘惑されない航海者達を見、セイレーンはオデュッセウスに話しかけた。
オデュッセウスはセイレーンに一人近づこうとした。
しかし部下のペリメデスとエウリュロコスがオデュッセウスを縛りなおした。
こうしてオデュッセウスはセイレーンを無視して通り過ぎた為にセイレーンは
悔しさのあまり自殺してしまった。もしくは岩になった。