● 出自:日本→福島県→福島市 別名:─ 同一:─ 秋の彼岸の頃、信心深いじいさんが団子を地蔵様にあげようとした。 すると団子がひとりでに転がってしまった。拾おうとするとまたごろごろっと転がり、 どこまでも転がってゆくので、じいさんは団子の後を追いかけて行った。 団子は広い原っぱまで転がると、小さな穴の中に入って行った。 じいさんが穴を覗くと中は広くて深い様子。 穴の中に入ると地蔵様が立っていて、団子はわしが食べたと言う。 そして団子のお礼にと、 今からここに鬼が大勢やってくる事。 その鬼が博打遊びをし、金を沢山持っている事。 自分の後ろに隠れていれば鬼達に気づかれない事。 鶏の鳴き真似をすれば鬼達は朝がきたと思って逃げ出していく事を教えてくれた。 まもなくして大勢の鬼がやってきたのでじいさんは慌てて地蔵様の後ろに隠れた。 鬼達は沢山の金を出して丁だ半だと夢中になって博打を始めたので、 しばらく眺めていたじいさんはいまだと思い大声で鶏の真似をした。 鬼達は夜が明けたと思い慌てて逃げていったので、後には沢山の金が残り、 じいさんはその金を拾うと家へ持って帰った。 それを聞いた隣の家の強欲じいさんは団子を地蔵様にやると、 無理やり転がして穴にいれ、団子に続いて入った。 じいさんが地蔵の後ろに隠れていると鬼達がやってきて博打を始めたので、 鶏の鳴き真似をした。 沢山の金を見て嬉しくなった強欲じいさんが大声でけたけた笑うと、 逃げ遅れた小鬼が大声で鬼達を呼び戻したので、 強欲じいさんは大勢の鬼達にいじめられてしまった。 何とか家に帰った強欲じいさんを出迎えたその妻の強欲ばあさんは、遠くから歩いてくる じいさんの姿を見やり、赤い綺麗な着物を着て帰ってきた、と喜んだが 近くにきてじいさんが血だらけなのを見て驚いたと言う。 |