● 出自:イギリス 別名:─ 同一:─ 字義:─ 著者:ジョン・ミルトン 聖書、旧約聖書の「創世記」をテーマにした壮大な叙事詩。 神に叛逆して一敗地にまみれた堕天使ルシファーの再起と、 ルシファーの人間に対する嫉妬及びルシファーの謀略により楽園(エデン)追放に至るも、 その罪を自覚して甘受し楽園を去る人間の姿を描いている。 ミルトンは悪魔学の専門家ではなかったが、当時に見られた悪魔に対する様々な説を 総合した独自の解釈を作中に盛り込んだ。 ミルトンによる解釈はその後のキリスト教に影響し、 殊にルシファーに関する逸話に大きな影響を与えた。 ミルトンの詩の中では、ルシファーは神の偉大さを知りつつ、 服従よりも自由に戦って敗北する事を選ぶ、一種の英雄として描かれる。 一方、アダムはイヴの誘惑によって禁断の木の実を食べてしまう弱い存在ではあるが、 いったんは神の命令に背くものの、自ら罪を犯した事を認め、 悲哀を胸に抱いて己の罪の報いを自らの意思によって引き受ける、 偉大な魂の持ち主として描かれる。 ミルトンはこれらの描写によって被造物における崇高を描きながら、 それを超えた創造者としての神の偉大さを称えようとした。 なお、「失楽園」に対応する作品として「復楽園」もある。 |