inserted by FC2 system

●シヴァ●
出自:インド神話、ヒンドゥー教
別名:バイラヴァ(恐ろしき殺戮者)、ハラ(万物を破壊する者)、カーラ(時)、
   ムンダマーラー(髑髏を首にかける者)、ブーテーシュヴァラ(悪魔の王)、
   ゴーパティリシャバ、マハーデーヴァ(大神)、ナタ・ラージャ(舞踏の王)
   マハーヨーギン(大苦行者)、パシュパティ(獣王)、マハーカーラ(大黒)
   ヨーゲーシュヴァラ(ヨーガの王)、マハーシュヴァラなどなど
同一:バタラ・グル
前神:ルドラ
字義:「吉祥」
容姿:4つの頭、4本の腕(又は10腕)、3つの眼を持ち、額に半月を頂き、
   青黒い蛇を首に巻き、虎の皮をまとっている
家族:妻にサティパールヴァティ、ディーヴィ、カーリー
   息子にカルティヤーケガネーシャ、スカン、メーガナーダ、アンダガ

三大神(トリムールティ)の一柱。
非常に異名の多い神であり、その数は1000を超えると言う説も。
インドでは破壊を司り、雷や暴風雨をもたらす最も荒ぶる神。
医学を施す賢明で寛容な神。天界と地上、地下世界を支配する三界の主。
芸能や舞踊を司り、108種類ある彼の踊りはナタラージャ寺院にレリーフがある。
いつの日か破壊の踊りを踊って世界を破壊すると言われているが、
それまではもっぱら生命を与える事に使われる。

ナンディを乗り物とし、聖獣で従者でもある。
彼の武器はピナーカという三叉戟さんさげきで、他の神々の力を宿す事が出来、何でも貫き通す。
額の第三の目が開かれれば、全てを焼き尽くし、そのままでいれば世界を滅ぼす。
しばしば青黒い肌で描かれるが、これは神々が原始の海乳海をかき回した際、
そのはずみで世界を滅ぼしかねない猛毒が現れたので、それを飲み干した為。
詳しくはヴァスキ項参照。
出家と火葬場を象徴する牛糞を燃やした灰を体に塗っているからと言う説もある。
インドではシヴァ自身を表すリンガ(男根)が信仰の対象となっている。
また彼の活動力はシャクティ(性力)という。
シヴァはヒマラヤ山脈のカイラーサ山に棲んでいる。
ヴィシュヌが世界創造の際に彼の臍から一茎の蓮が生え、
その先から創造神ブラフマーが、額から破壊神シヴァが生まれたとされる。

ある時ブラフマーとシヴァが宇宙の創造者は誰なのかについて論争を始めた。
どちらも引かず、ついにシヴァが激怒して全身が憤怒に包まれた。
他の神々はそのシヴァを見て、バイラヴァ(恐ろしき殺戮者)と呼んだ。
バイラヴァはブラフマーの5つある頭のうちの一つを切り落とした。
現在ブラフマーの頭が4つなのはこういう理由である。

シヴァが苦行をしている時にパールヴァティがふざけて神の目をふさいだ。
世界は暗黒になり、その暗闇から雷の様な大音量と共にアンダガ(暗黒)が生まれた。
しかしシヴァの額に第3の目が現れそれが開かれたので大事には至らなかった。
その時魔族のヒラヌヤークシャが息子を欲して苦行をしていた。
シヴァは彼にアンダガを里子として与えた。
シヴァはヒラヌヤークシャに、アンダガが世間の憎しみを受けたり、母を求めたり、
バラモンを殺したりすれば自らが焼き殺すと言って姿を消した。
しかしアンダガはパールヴァティを手に入れたいと考えた。
するとシヴァが現れ賭博でアンダガを破った。
アンダガが心から謝ったので、後にアンダガをアスラの身から救った。
アンダガは天界から神聖な木を盗もうとしたのでシヴァに殺されたと言う説もある。
このアンダガはパールヴァティラクシュミ、サラスヴァティーの三人の
女神の誕生話にも関わっているという説もある。詳しくはそれぞれの女神の項参照。

2月22日はシヴァ・ラートリ祭りと言ってシヴァの信者達はこの日、終日断食をし、
夜になって祭礼を行う。