●遠野物語(とおのものがたり)−58●

小烏瀬川(こがらせがわ)の姥子淵(おばこふち)のあたりに、新屋(しんや)という家があった。
ある日、淵へ馬に水浴びをさせに行った馬曳きの子が
馬を川に入れたまま他の場所で遊んでいると、
その隙に川童が出てきて馬を川に引きずり込もうとした。
しかしかえって馬に引きずられてうまやの前までつれてこられ、
馬の飼葉桶がかぶさり、閉じ込められてしまった。
家の者は、飼葉桶が伏せられているのを不思議がり、
少し開けてみると川童の手が出てきた。
そこで村中の者が集まり、殺すか許すかを評議した。
結果、村中の馬に今後悪戯をしないと堅く約束させて放してやった。
その川童は、今では村を去り、相沢の滝の淵に住んでいると言う。

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