●ラグナロク● 出自:北欧神話 別名:ラグナレック(偉大なる神々の暗闇) 同一:─ 前神:─ 字義:「偉大なる神々の定め」 巨人族と神々の最終戦争を指す。 これを「神々の黄昏」と詩的に表現したのはドイツの作曲家ワーグナーである。 ラグナロクがいつ来るのかは不明だが、その前兆として、 1:三夏の間、日は暗くなり、三冬の間、寒さは厳しくなる。 人々は親兄弟で互いに殺し合い、姦淫し合う。 2:太陽はスコールに、月はハティに飲み込まれる。 3:「フィンブルヴェトル(大いなる冬)」が訪れる。 夏の無い三冬。風は冷たく荒れ狂い、あらゆる方向から雪が吹き付ける。 多くの人間がこの時期に命を失う。 4:ヨトゥンヘイムで「フィヤラル」が、アースガルズで「グッリンカンビ」が、 ニヴルヘイムで煤赤色の雄鶏が泣き声を響かせる。 5:オーディンとヘイムダルはミーミルの泉へ行き、それぞれ「ミーミルの首」と 「ギャッラルホルン」を手にする。 オーディンの戦士エインヘリャルとヴァルキュリアは目覚め、武装する。 神々はミーミルの首の前で、協議を始める。 ニョルズがフレイアを連れてヴァナヘイムに帰る。 6:フェンリルが縛を解かれ、暴れ始める。 7:海底のヨルムンガンドが陸に押し寄せてくる。 口からは毒を吐き続け、空と大地は毒に犯される。 8:ロキは自らの子供の腸からの縛を解かれ、ヨトゥンヘイムへ行き、 巨人の王フリムを連れてムスッペルスヘイムへ行き、ラグナロクの始まりを告げる。 9:ムスッペルスヘイムのスルトがムスッペルとナグルファルという船に乗って攻めてくる。 10:ロキはニヴルヘイムへ行き、ガルムと死者達を率いて攻めてくる。 11:ヘイムダルがビブロスト(虹の橋)でギャッラルホルンを吹き鳴らし、 神々は武装して出陣する。 12:神々と巨人達はヴィーグリーズ(戦の騎行)という1000km四方の原野で戦い始める。 ラグナロクの戦い。 1:オーディンがフェンリルに呑み込まれて死ぬ。 2:オーディンの息子ヴィーザルが父の仇を打ち、フェンリルの顎を引き裂き、 心臓に剣を突き立てる。 3:トールがヨルムンガンドをミョルニルで殺す。しかし九歩退くと、蛇の毒で息絶える。 4:ロキとヘイムダルは互いの身体を互いの頭に突き刺し、相打ちする。 5:利き腕の無いティールは死者の群れを多く葬ったが、ガルムと相打ちになる。 6:エインヘリャルとヴァルキュリアは巨人やムスッペルと戦い、その多くが命を落とす。 7:鹿の角を手にしたフレイが、炎の剣を持ったスルトに切り殺される。 こうして戦場に立っている者がスルトだけになると、スルトはその炎で世界に火を放つ。 世界樹ユグドラシルが炎に包まれると、スルトはいずこかへ去る。 大地は海に呑み込まれ、星々は天から落ちてくる。 ニヴルヘイムにいるニーズヘッグとフレースヴェルグは次々と送られてくる死者の肉を 奪い合って食らう。こうして世界は終末を迎える。 ラグナロク後の世界。 海に沈んだ大地が、再び引き上げられる。 大地は浄化され、緑にあふれ、種を蒔かなくても作物が実る。 そして、その地には新世代の神々が蘇っている。 バルドルはホズと手を取り合い、ヴィーザルとヴァーリはヴァルホルの館で暮らす。 トールの子モージとマグニはニョルニルを手に遊びまわっている。 オーディンの兄弟の子供達が天に「ヴィンドヘイム(風の国)」という名の館を築く。 ヘーニルが神々の祭祀となり、新しい世界が始められる。 太陽はスコールに呑み込まれる直前に、一人の娘を産んでいた。 この娘が大きく成長し、大地を照らし出す。 人間は「ホッドミーミル(貯えの水をもたらす者)」という森に隠れていた。 朝露を飲んで生き残ったのはリーヴという男とリーヴスラシルという女。 この二人から新しい人類が生まれていく。 ラグナロクの災禍を逃れてたのはニヴルヘイムと天上界のみであった。 しかし天上界から二人の力ある者がこの世を支配する為に降りてくる。 それを見ると、ニーズヘッグは死者を背に乗せて沈んでいく。 |